競争の激しいグループウェア市場にあって、確実にシェアを伸ばし続けているネオジャパン。その強みの源泉はソフトウェア技術者たちだ。常にアグレッシブに最新の技術を採り入れ、新たな分野を切り拓こうとする彼らのチャレンジ精神と高い技術力は、今や経営者が重要な判断を下す際の指針となっている。
- 2006年7月
- 業界でいち早くAjaxを搭載した製品を開発
最新技術でWebグループウェアの可能性を広げる
2005年11月、ネオジャパンは、「Ajax」を利用して新しいdesknet'sを開発する方針を打ち出しました。今でこそブラウザ上で利用するWebアプリは当たり前となりましたが、当時のWebアプリはまだ操作性が低く、デスクトップアプリには遠く及ばないものばかりでした。最新技術Ajaxで開発すれば、Webグループウェアであるdesknet'sもデスクトップアプリのような操作性を実装でき、ユーザーにより快適な使用環境をお届けできると考えたのです。
当社の技術者ならAjaxで開発できる――経営者はそう決断し、さっそく技術開発部に開発を依頼しました。しかし、Ajaxが発表されたのは数ヵ月前のこと。最新技術だけに国内には開発事例がほとんどなく、当然のことながらネオジャパン内部にもノウハウはありませんでした。こうして開発は手探りの状態でスタートしたのです。
手探りのなか、驚くべきスピードで開発を完了
Ajaxを使って開発するには、米国製のソフトウェアを使用する必要がありました。そのため、分からないことがあれば、その都度米国の開発元に問い合わせをしなくてはならず、時差の関係で昼夜逆転のような感覚におそわれることもありました。それでもプログラムの試作と検証を繰り返して一つずつ課題をクリアし、前進していきました。そして、わずか6ヵ月後に開発を完了させたのです。この規模のソフトウェア開発には通常1年以上の時間を要することを考えれば、驚くべきスピードでした。
その後、2006年7月に『desknet's ver.5 Ajax版』として発売しました。国産のグループウェアでは初めてAjaxを利用したソフトウェアとして注目を集め、その後のWebグループウェア市場で大きくシェアを拡大したのです。
- 2008年10月
- グループウェアの概念を覆すガジェット機能を搭載
「ガジェット」を採り入れ、使い勝手を向上
2000年代後半になると、グループウェア開発会社各社は他社との差別化を図るために多機能化戦略を進めていました。しかし、すべての機能を使いこなせないユーザーにとって、それは過分なツールでしかありませんでした。こうしたなかでネオジャパンは「ユーザーの使い勝手を向上するには、多機能化よりもインターフェースの向上が重要」と考え、2008年10月にリリースした『desknet's Enterprise Edition Ver.7』にトップ画面のカスタマイズ化を実現した「ポータル(玄関)」機能を搭載しました。
Googleがポータルサイト機能「iGoogle」をリリースしたのが2007年。desknet'sのポータルは、その企業版といえます。当時から専用のポータル製品はあったものの、それをグループウェアに搭載したのは画期的でした。ポータルを実現するために利用した技術が、iGoogleでも使われた「ガジェット」でした。ガジェットとは、当時流行した「美人時計」に代表される小さなプログラムのことで、同製品では企業が独自に作成するガジェットはもちろん、ネット上に広く出回っている一般のガジェットも取り込めるようにしました。
グループウェアにポータル機能を追加し、かつガジェットに対応する――desknet's Enterprise Edition Ver.7は、従来のグループウェアの概念を大きく覆すものとして、市場からは大きな驚きを持って迎えられました。
- 2009年1月
- 大震災で実際に使われた安否確認機能を開発
とにかく簡単に使える安否確認システムを
もう一つ、2000年代後半に注目を集めていたものがITシステムの災害対策としての「ディザスタリカバリ」でした。このテーマにネオジャパンも取り組んでいましたが、一部のユーザーから「災害時に従業員の安否が確認できるシステムがほしい」という要望も寄せられていました。少数意見だったものの、ネオジャパンは安否確認の重要性を認識し、安否確認システムの開発に乗り出しました。
開発にあたっては、技術面ではなく、ユーザーが「いかに簡単に使えるか」を実現することが課題でした。たとえば、電話会社の災害伝言サービスは「電話をかけて、相手の番号を入力して」と、多くのステップが必要なうえ、相手もそのサービスの存在を知っていることが前提です。しかし、災害時の何もかもが混乱している状況で複雑な手順を踏むようなシステムでは意味がないと考えたのです。
東日本大震災で活用されて注目を集める
緊急時にも混乱することなく、いかに簡単に、少ないステップで多数の社員の安否確認を実現するか――徹底的なシミュレーションを繰り返すなかで「災害時に防災管理者がメールを一斉配信し、ユーザーはメールの内容に沿って安否状況を入力するだけ」というごくシンプルな仕組みを作り出しました。
「これならユーザーに全く負担をかけず安否情報を収集できる」と確信をもったネオジャパンは、2009年1月に安否確認システムをリリースしました。当初、市場の反応は冷ややかでしたが、2011年3月11日の東日本大震災で利用されたことで、一挙に注目を浴びることになりました。そして今や、グループウェアをはじめとしたビジネスツールの多くに安否確認機能が搭載されるようになったのです。
- 2012年9月
- スマートフォンなど、マルチデバイスに対応した画期的な製品 desknet's NEOを開発
テクノロジーの変化をいち早くキャッチ
2008年ごろから、スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスが急激に浸透し、クラウド、ソーシャルといった新しいソリューションが注目を浴びてきました。次世代のWeb標準技術「HTML5」もその一つ。HTML5とは、HTML4にはできなかった複雑な処理も簡単にできるようにする技術で、ブラウザ上で動画やグラフィックを描写したり、ネイティブアプリのような機能をWebサイトに持たせたりと、Webの可能性を広げるものでした。
HTML5が知られるようになったのは2010年頃からですが、その真価は未知数でした。しかし、テクノロジーの進展による市場環境の変化の速さを痛感していたネオジャパンは、「今後10年戦える新製品を世に出そう」と、 HTML5を使ったdesknet'sを開発することを決めたのです。この決断の背景には、これまでも新しい技術をいち早く市場に提供してきたという自負がありました。
マルチデバイス対応に試行錯誤
HTML5も最新の技術であり、これまでと同様、手探りのなかで開発がスタートしました。特に苦心したのは多様なデバイスへの対応です。スマートフォンやタブレット端末にも対応し、軽快な操作で利用できるようにすることが当初からの目標でしたが、そのためにはWindowsとMac、iOSとAndroidがあり、そのなかでも複数バージョンがありました。さらに機種によってクセが違うことも難点でした。
加えて、企業の導入・運用の手間を減らすために、アプリをインストールして利用するのではなくブラウザ上で利用する方式を採用したことも、いっそう開発を難しくしました。つまり、タブレットやスマートフォンでのタッチパネル操作用のインターフェースを作り上げる必要があったのです。複数のOS、ブラウザ、機種で思い通りの表示をするための膨大なトライアル&エラーが続きました。
そして2012年12月、HTML5を全面採用した新製品『desknet's NEO』がリリースされました。既存のWebアプリにはない高い操作感、グループウェアの常識を覆すソーシャル機能、充実のマルチデバイス対応など、あらゆる面で新しいグループウェアとなった製品は、まさにネオジャパン開発陣の技術とノウハウ、独創性、そして情熱の結晶でした。
- 2014年10月
- 原点に戻り、「使いたくなる」グループウェアを追求
desknet'sが目指すのは「やさしさ」と「わかりやすさ」
desknet's NEOは、多くのユーザーやパートナーに驚きと称賛を持って迎えられました。しかし、全く新しい試みを多数盛り込んでいたために、「ネオツイ」「ポータル」など、活用方法がユーザーにうまく伝えられない機能もありました。こうした反省点を生かし、次バージョンへ向けての開発が始まりました。
今回の開発は、desknet's NEOリリース後初めてとなるメジャーバージョンアップになります。それだけにユーザーの注目度は非常に高く、開発者の力量が問われました。そこでまず開発陣が取り組んだのは、いつにも増してユーザーの声に耳を傾けることでした。初期バージョンを利用するユーザーから要望や意見を集め、その内容を徹底的に精査し、新バージョンに反映することを目指しました。
同時に、原点に立ち返って「desknet'sのコンセプト」を再確認しました。desknet'sが目指してきたものは常に「やさしさ」と「わかりやすさ」でした。つまり、インターフェースの見やすさや、初心者でもすぐに使えるわかりやすさこそが、desknet'sの生命線なのです。これに気づいたことで、目標とする完成形がより一層クリアになりました。
そして2014年2月、desknet's NEOの初メジャーバージョンアップ版をリリースしました。新バージョンでは、多くのグループウェア製品のなかでも主要機能となっている「ワークフロー」を徹底的に強化しました。また、「ネオツイ」では絵文字やスタンプを送信する機能を追加したほか、目的別ポータル機能の強化、Webクリップ機能、短縮URL生成といったユニークな機能などを搭載。機能追加や改善を実施した項目は、なんと100項目以上にもおよびました。
この新バージョンは旧バージョンの全ユーザーに無償で提供されました。価格を変えることなくグループウェアの付加価値を高めれば、ユーザーの満足度向上につながります。その結果、2014年3月には、デスクネッツの導入実績が1999年からの累計で300万ユーザーを突破することになったのです。
デスクネッツの進化はさらに続く
2014年10月にはV2.5へのバージョンアップが実施されました。最新バージョンでも、「スケジュール」でのドラッグ&ドロップ対応や、「ウェブメール」での誤送信防止機能の追加、ポータルメニューのカスタマイズ機能の追加など、多数の機能を追加・改善。ユーザーにとっての「やさしさ」「わかりやすさ」を極限まで高めながら、セキュリティやユーザー管理機能も強化し、管理者にとっても大きなメリットを感じられるようなバージョンとなりました。
新たな技術を積極的に採り入れ、またユーザーの声に真摯に耳を傾けて、地道に開発を続けてきたデスクネッツ――より品質の高い製品を手頃な価格で提供するために、そしてITコミュニケーションで日本企業の競争力強化に貢献するために、これからもネオジャパンの開発者たちの挑戦はまだまだ続きます。
desknet'sが進化し続ける理由
最新の技術に果敢に挑戦する「社風」がある
画期的な新製品開発を実現してきたのは、いうまでもなく、高度な技術力とチャレンジ精神を持つソフトウェア技術者たちです。逆に言えば、「当社の技術者なら、最新技術をいち早く採り入れて製品化できる」という絶大な信頼があるからこそ、ネオジャパンの経営者も大胆な経営判断ができるのです。
ネオジャパンの技術開発部の風土は、ひと言でいえば「実力至上主義」。昔ながらの徒弟制度や年功序列はなく、新人もベテランも関係ありません。意欲のある人材や能力のある人材に、積極的に仕事を任せています。それほどまでに技術重視の姿勢がなければ、最新技術を素早く採り入れることなど不可能なのです。
ものづくりの喜びに満ちた「職場環境」がある
技術開発部の仕事は、成熟した技術を製品に反映させることではありません。前例がなく、世に出て間もない、しかし大きな可能性を秘めた最新技術――そんな技術を使って製品を作り上げるという、チャレンジングな仕事です。教科書的な知識や過去の経験が全く役に立たないこともあり、最終的に頼りになるのは技術者自身のセンスです。
もちろん、技術者にはITに関する専門的な知識やスキルは必要です。しかし、それ以上にものごとを筋道立てて考えることのできる論理力や推理力、仕事をやり遂げることのできる根気や自己管理能力といったものが求められるのです。これらの能力は、理系や文系など、学生時代に学んだ専門分野とは関わりがありません。
技術者としてのセンスを発揮し、最新技術という手強い相手に立ち向かい、この世にまだ存在しない製品を開発する――そんな技術者としての喜びに満ちあふれた仕事がネオジャパンにはあるのです。